川の上流にある山の豊かな森林が多くの栄養分をつくります。それを雨水が川に運んでやがて海に流れ着くと、植物プランクトンとなり、それを動物性プランクトンがエサにして繁殖します。その動物性プランクトンを稚魚や小魚が食べるのです。それをまた中型魚が食べ、大型魚を食べます。このつながりを「食物連鎖」と呼びます。この原点に位置しているのは山であり、豊かな森林です。
また、木は魚のエサとなる昆虫も育てますし、大雨による洪水で山の土砂が流出し、河口付近の海底環境を悪くすることからも守ってくれます。
そのため、海の魚を育てるには山の森を豊かにすることと川をきれいにすることがとても大切なのです。
この森と川と海を一体的にとらえた「循環の理念」に基づき、県内各浜において、植樹運動・海をきれいにする運動を実施しています。
1.植樹運動の推進
各浜の女性部・青壮年部が中心となって森を守る植樹活動や下刈りに積極的に参加し、豊かな海づくりを目指しています。
2.海をきれいにする運動
各浜ごとに女性部・各部会が中心となって、自分たちの仕事場である漁港周辺や海浜の清掃を実施しています。
また、「合成洗剤追放運動」を推進し、家庭の排水溝から環境問題を考え、海を汚染する要因となる合成洗剤から自然環境にやさしい「天然せっけん・わかしお」の普及に努めています。
※「合成洗剤追放運動」
合成洗剤に含まれる合成界面活性剤は、自然界での分解速度が遅く、また毒性が強いため、魚にとっては大敵です。また、合成洗剤には環境ホルモンが含まれており、水資源の循環を考えるとき、人間にとっても大きな問題となっています。そこで漁協系統では、合成洗剤を使わずに「天然石けん」を使おうという運動を展開しており、「わかしお」というオリジナルブランドを開発して、一般の方にもご利用いただけるよう普及に努めています。