夜中に出港した船は、朝になると次々に港へ帰ってきます (1)。獲れたばかりの魚はセリの順番を待つため、岸壁から市場へ運ばれていき、市場が一気に活気づきます。相馬原釜では、魚を獲ってくるのはお父さんの仕事、魚を市場へ出すのはお母さんの仕事となっていて (2)、漁は家族の共同作業。市場は明るいお母さんたちの笑顔であふれます (3)。
市場に運ばれた魚は、種類や大きさなどによって選別されます。選別された魚は、きれいにカゴに並べられますが、魚を床に並べずに、カゴを使うのは衛生面を考えてのことで、相馬原釜では古くからカゴを使ったセリが行われています。また、鮮度を落とさないためには、選別作業は時間との勝負。短時間できれいに並べられていく作業はみごとな光景です。
市場での魚の販売は、活魚は通称「うたいセリ」と呼ばれる方法 (6)(7)、鮮魚は入札という方法に分かれています。うたいセリとは、仲買人が魚の値段を言い合い、より高い値段を言った方が買うことが出来るものです。文字通り生きた魚を競る訳ですから、短時間で次々に競り落とされていき、市場は魚の水しぶきと仲買人の掛け声で活気にあふれます。一方、入札とは、ほしい魚のカゴへ希望の値段を書いた札を裏返して入れていき (8)(9)、開票の合図とともに値段が書かれた側を表にします。そして、一番高い値段を付けた人が買う権利を得るというものです。当然人気の高い魚には、たくさんの札が入ります (10)。
セリ落とされた魚は、直ぐに仲買人たちによって、活魚槽や荷捌き場へ運ばれます (11)(12)。活魚は活魚車に移され、生きたまま中央の卸売り市場等へ運ばれていきます。鮮魚は、種類ごとに大きさ別に箱詰めされ、保冷車に積まれて中央の卸売り市場等へ運ばれていきます。
こうして大都市の卸売り市場へ運ばれた魚は、さらに、そこでセリにかけられ、セリ落とされた魚が一般の魚屋さんに並ぶことになるのです。